近年日本国内においてベヒシュタインピアノが著名なピアニストや音楽家に使われ、リサイタルや録音などに採用される機会が多くなっています。現在ではスタインウェイピアノが最高峰とされていますが、私自身も近年になってベヒシュタインピアノの素晴らしさに気付かされた一人として、ベヒシュタインピアノを通して本来のピアノとは何か調律師として大切にすべきこと何かを改めて考えるようになりました。

また、ベヒシュタインを弾かれたピアノ指導者・講師の中にも同様の思いからピアノと演奏方法について再考されベヒシュタインピアノをレッスンに取り入れる方々が増えています。

何故ベヒシュタインピアノが選ばれるのか。

ベヒシュタインとスタインウェイ・ベーゼンドルファー・ファツィオリなどとの違い。その答えは歴史上のピアニストや作曲家が愛用したピアノにあるように思います。

*ここでいう違いとはコンサートピアノのように大きなピアノのことだけでなく一般家庭のでも使用する小型(コンパクトピアノ)なグランドピアノを含めます。

そこには音楽史に登場する作曲家やピアニストと、ピアノ製造技師との関わりから造られた優れたピアノがあり、ピアノに相応しい感性豊かな表現力のある音の出し方(音楽を表現するという気持ちのこもった演奏)が求められていた。

その時代から調律師はピアノをベストコンディションにメンテナンスし、ピアノ指導者はピアノに合った弾き方を教え広め、ピアノ音楽が広がり現在に至っていると考えます。

世界大戦や戦後のピアノ大量製産による圧倒的に販売台数などに影響され、本来のピアノである手造りピアノ達は影ひそめます…。

大量生産できるメーカーは躍進し、日本では1970年あたりからピアノや音楽の普及と相まってピアノは爆発的に売れました。しかし本来のピアノ音楽や指導というものは徐々に変化し商業的には成功したものの、大切なものを見失ったように思います。

ブラームスやリストに愛用され、多くの音楽家達と共に進化したベヒシュタインピアノは、歴史に裏付けられた脈々と受け継がれている技術とその優位性が他との違いに表れおり、ベヒシュタインピアノを弾くことで本来のピアノ音楽に近づくことになるのではないかと考えるようになりました。

ベヒシュタインピアノの持つ音色と表現力を披露。画像の他にも古典調律されたアップライトピアノで演奏を聴きがせていただきました。